慢性膵炎
慢性膵炎とは
慢性膵炎は、膵臓の外分泌腺に炎症が長期間続くことで細胞が徐々に壊れ、線維組織に置き換わって膵臓が硬くなり、本来の機能が失われていく病気です。
原因としてはアルコール多飲が最も多く、そのほか胆石、高カルシウム血症(副甲状腺機能亢進症など)、原因不明の特発性などがあります。
症状の経過
- 初期〜代償期
- みぞおちや背部の鈍い痛みが断続的に続く
- アルコールや脂肪分の多い食事で痛みが誘発されやすい
- 数か月ごとに急性膵炎様の強い腹痛発作を繰り返すことも多い
- 進行期〜非代償期
- 膵臓の機能が荒廃して炎症が落ち着くため、腹痛はむしろ軽くなる
- 代わりに、食欲低下・下痢・脂肪便・体重減少など膵外分泌不全による症状が目立つ
- インスリン分泌低下により血糖調節ができなくなり、糖尿病を発症・悪化させることもある
痛みの機序と治療の考え方
慢性膵炎の腹痛は、膵臓の線維化によって膵液の通り道である膵管が細くなったり、膵石ができたりして膵液の流れが悪くなることで起こると考えられています。
代償期
- 治療の中心は「痛みのコントロール」
- 膵管の出口を広げて膵液の流れをよくする薬剤(膵管括約筋を緩める薬など)を用いる
- アルコール・脂肪摂取の制限、禁酒・禁煙も極めて重要
非代償期
- 主な問題は膵機能不全(外分泌・内分泌の両方)
- 脂肪・たんぱく質の消化吸収不良による下痢・脂肪便、栄養障害、体重減少に対して、膵消化酵素剤(パンクレリパーゼなど)による酵素補充療法を行う。
- インスリン分泌不全に対する糖尿病治療(食事療法・内服薬・インスリンなど)が必要になることも多い
慢性膵炎のポイント
慢性膵炎は一度進行すると完全に「元の膵臓」に戻すことは難しく、
- アルコール制限・禁酒を含む生活習慣の見直し
- 痛みのコントロール
- 消化酵素補充や糖尿病治療などによる膵機能低下への対応
を通じて、症状を抑えつつ進行をできるだけ遅らせることが治療の目標になります。