膵嚢胞、嚢胞性膵腫瘍
膵嚢胞・嚢胞性膵腫瘍とは
膵嚢胞は、膵臓の中に液体がたまった袋状の変化ができた状態を指し、多くは健診などの腹部超音波検査やCT・MRIで偶然見つかる、症状に乏しい病変です。多くは良性と考えられますが、一部には将来的に膵癌と関連するタイプも含まれるため、画像所見による評価と経過観察が重要になります。
画像診断と膵癌との関係
肝嚢胞や腎嚢胞は一般に良性のことが多いのに対し、膵嚢胞は「膵嚢胞性腫瘍」も含むため、良性〜前癌病変〜悪性まで幅があります。
特に、主膵管の拡張や嚢胞の増大は膵癌リスクと関連する所見として重要視されており、近年の超音波・CT・MRIの普及に伴い、膵嚢胞が健診で指摘される機会が増えています。
精密検査が必要となる所見の目安
多くの膵嚢胞はそのまま経過観察で問題ありませんが、以下のような所見がある場合には、悪性・前癌病変の可能性を考慮して、より詳しい検査が推奨されます。
- 嚢胞の大きさが3cmを超える
- 主膵管の拡張(おおよそ5〜9mm以上)が見られる
- 嚢胞内部にポリープ状の隆起や、造影剤で染まる結節・壁肥厚がある
- 膵炎や黄疸などの症状を伴う
このような場合には、
- 膵液細胞診(膵液中の細胞を顕微鏡で調べる検査)
- EUS(超音波内視鏡)を用いた詳細な観察や穿刺吸引
などによる精密検査が行われ、良性か悪性(またはその前段階)かを慎重に評価します。
経過観察と治療の考え方
明らかな悪性所見がなく、大きさや形態が安定している膵嚢胞では、定期的な画像検査によるフォローアップが推奨されます。
一方で、
- 嚢胞径が大きい、あるいは増大傾向がある
- 主膵管拡張や内部結節などの「危険所見」を伴う
- 症状や腫瘍マーカーの上昇を認める
といった場合には、外科的切除を含む積極的な治療が検討されます。
膵嚢胞・嚢胞性膵腫瘍は、「ほとんどが良性だが、中に前癌病変・早期癌が紛れている可能性がある病変群」と位置づけられるため、嚢胞のサイズ・形態・膵管との関係・症状などを総合的に評価し、個々の患者さんに応じた経過観察と治療方針を決めていくことが大切です。