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膵癌

膵癌とは

膵癌は膵臓に発生する悪性腫瘍で、日本では死亡数・罹患数とも増加傾向にあり、がん死亡原因として上位を占めています。
60歳代に多く、やや男性に多いとされ、診断時にはすでに進行していることが少なくありません。

危険因子と症状

膵癌の危険因子として、次のようなものが知られています。

  • 喫煙
  • 家族歴(膵癌の家族がいる、遺伝性膵炎など)
  • 糖尿病(とくに新規発症や、急にコントロールが悪化した場合)
  • 慢性膵炎、膵嚢胞性病変
  • 肥満や加齢 など

早期の膵癌は自覚症状に乏しく、進行すると以下のような症状が現れやすくなります。

  • 上腹部痛、背部痛
  • 体重減少、食欲低下、全身倦怠感
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿、白色便

背部痛だけで膵癌と決めつけることはできませんが、糖尿病患者で血糖コントロールが急に悪化した場合などは、膵癌のサインである可能性も指摘されています。

診断

膵癌の診断には、複数の画像検査と血液検査を組み合わせます。

  • 腹部超音波検査
  • 造影CT、MRI
  • 内視鏡的逆行性膵管造影(ERCP)や内視鏡的超音波検査(EUS)
  • 血液検査(腫瘍マーカーCA19-9など)

胃癌や大腸癌と異なり、「内視鏡で直接腫瘍を観察して生検」という形が取りにくく、特に早期膵癌はCTや超音波だけでは分かりにくいことが多い点が、予後不良の一因とされています。

手術・放射線治療

治療方針は、がんの進行度(切除可能かどうか)と全身状態・膵周囲血管への浸潤の有無などで決まります。

外科手術

主幹動脈への高度浸潤や再建不能な門脈浸潤がある場合は、従来「局所進行切除不能膵癌」とされてきました。
近年は、180度以内の動脈浸潤を伴う症例を「切除可能境界型」に分類し、術前化学療法や化学放射線療法を行ったうえで切除を目指す治療戦略が広まり、真の「切除不能例」は減少しつつあります。

放射線治療

体幹部定位放射線治療(SBRT)や強度変調放射線治療(IMRT)、陽子線・重粒子線などの粒子線治療が、一部の局所進行例などで用いられています。

化学療法(薬物療法)

かつてはゲムシタビン単独療法が標準治療でしたが、現在は以下のレジメンが推奨度の高い一次治療として位置づけられています。

  • FOLFIRINOX療法
    5-FU、レボホリナート、オキサリプラチン、イリノテカンの併用療法で、良好な全身状態の患者に対して生存期間延長が示されています。
  • ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法(GnP療法)
    ゲムシタビン単独と比較して有意な予後改善が示され、遠隔転移を有する膵癌の一次化学療法として強く推奨されています。

これらが使用困難な場合には、ゲムシタビン単剤やS-1単剤などが代替として用いられます。

膵癌は依然として予後不良ながら、新しいレジメンや術前治療・放射線治療との組み合わせにより、長期生存を目指す症例が少しずつ増えてきていることが報告されています。

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