自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎(原発性胆汁性肝硬変)
自己免疫性肝炎とは
自己免疫性肝炎(Autoimmune hepatitis;AIH)は、中年の女性に多くみられる自己免疫性の肝炎で、肝細胞に対する異常な免疫反応が原因と考えられています。
治療せずに放置すると慢性の経過をたどり、ウイルス性肝炎と同様に肝硬変や肝癌へ進展することがあるため、早期に診断し適切な治療を開始することが重要です。
特徴・検査のポイント
- 血中ガンマグロブリンおよびIgG値の上昇
- 抗核抗体、抗平滑筋抗体、肝腎ミクロゾーム抗体などの自己抗体陽性
- 肝生検での、形質細胞浸潤を伴う慢性肝炎像などの特徴的な組織所見
これらの所見を組み合わせ、国際自己免疫性肝炎グループ(IAIHG)の診断基準や、日本の診断指針に基づいて総合的に診断します。
治療の基本
自己免疫性肝炎の治療は、他の自己免疫疾患と同様に免疫反応を抑えることが目的です。
- 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど):炎症を速やかに抑えるための中心的な薬剤
- アザチオプリン(イムラン®)や6-MP:ステロイドと併用することで再燃を防ぎ、ステロイド量を減らす目的で使用
一部の症例ではステロイドを中止できる場合もありますが、減量に伴い肝機能が再び悪化(再燃)し、低用量を長期に継続する必要が生じることも少なくありません。
その他の薬物療法
ステロイドの効果が不十分な場合や、副作用で継続が難しい場合には、以下のような選択肢が検討されます。
- ウルソデオキシコール酸(ウルソ®):軽症例やステロイド減量・中止を目指す際の補助的治療として用いる試みが報告されています。
- 免疫抑制剤の調整:アザチオプリンや6-MPなど、患者ごとの状態に応じて種類や用量を調整します。
指定難病としての位置づけ
自己免疫性肝炎は厚生労働省より指定難病とされていますが、当院院長は大阪府より難病指定医に認定されています。
原発性胆汁性胆管炎とは
原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis;PBC)は、肝臓の中を走る細い胆管がリンパ球などの免疫細胞によって慢性的に傷つけられ、胆汁の流れが悪くなることで胆汁うっ滞を来し、進行すると胆汁性肝硬変に至る自己免疫性の肝疾患です。
原因はまだ完全には解明されていませんが、自己抗体の一つである抗ミトコンドリア抗体が高率かつ特異的に陽性となること、慢性甲状腺炎やシェーグレン症候群、関節リウマチなど他の自己免疫疾患を合併しやすいことから、自己免疫学的な機序の関与が強く示唆されています。
病名変更の背景
従来は「原発性胆汁性肝硬変」という名称で知られており、診断される時点で胆汁性肝硬変まで進行した症例が多かったため、この病名でも大きな違和感はありませんでした。
しかし、抗ミトコンドリア抗体測定など検査技術の進歩や、健診での肝機能異常の早期発見により、肝硬変に至る前の段階で診断される症例が増え、病態と病名の乖離が問題となるようになりました。
治療と予後の改善
現在はウルソデオキシコール酸(ウルソ®)が第一選択薬として用いられ、多くの症例で非肝硬変期から肝硬変への進展を抑えることが可能になっています。
日本ではPBC患者の約7〜8割が自覚症状に乏しい「無症候性」とされ、その多くは肝硬変まで進行しておらず、早期診断・継続治療によって長期予後の改善が期待できます。
病名統一と指定難病
こうした背景から、病態や進行度をより正確に反映するため、2016年以降、国際的にも「Primary Biliary Cholangitis(原発性胆汁性胆管炎)」という名称が推奨され、日本でも病名の変更が進められています。
指定難病の診断書など一部の公的文書では、当面「原発性胆汁性肝硬変/原発性胆汁性胆管炎」と併記される場合がありますが、最終的には「原発性胆汁性胆管炎」に統一される見込みとされています。
指定難病としての位置づけ
原発性胆汁性胆管炎は厚生労働省より指定難病とされていますが、当院院長は大阪府より難病指定医に認定されています。