大腸癌
大腸癌は日本で患者数・死亡数とも非常に多い癌で、特に中高年で増加しているため、早期発見と予防が重要です。
多くはポリープ(腺腫)から徐々に癌化するため、大腸内視鏡検査によるポリープ段階での切除が大腸癌予防の要になります。
大腸癌の頻度と背景
大腸癌は日本で年間15万人以上が診断され、がん罹患全体の約15%を占める最も多いがんです。
死亡数は年間5万3千人以上で、全がん死亡の約14%を占め、男性では肺癌に次いで第2位、女性では第1位と報告されています。
食生活の欧米化(動物性脂肪や赤肉の増加・食物繊維の不足)や高齢化が、大腸癌増加の大きな要因と考えられています。
症状の特徴
初期の大腸癌はほとんど無症状で、検診の便潜血検査や内視鏡で偶然見つかることが少なくありません。
進行してくると次のような症状が現れます。
- 血便、便潜血陽性
- 便が細くなる、残便感
- 下痢と便秘を繰り返すなどの排便異常
- 貧血に伴うだるさや動悸
さらに進行すると、腸管内腔が狭くなり、腹痛・腹部膨満・腸閉塞などを起こすことがあります。
リスク要因と家族歴
大腸癌には遺伝性素因が関与し、家族に大腸癌や大腸ポリープのある場合は発症リスクが高くなります。
そのため、親兄弟に大腸癌・大腸ポリープのある方は、40歳頃からの積極的な検診(便潜血検査・大腸内視鏡)が推奨されます。
生活習慣に関連するリスク要因としては以下が挙げられます。
- 運動不足
- 野菜や果物の摂取不足
- 肥満
- アルコール多飲
- 加工肉・赤肉の過剰摂取
これらを是正することで、大腸癌の発症リスクを下げられる可能性があります。
「腺腫–癌連続説」と早期発見
多くの大腸癌は、腺腫という良性腫瘍が数年かけて徐々に悪性化して発生すると考えられています(腺腫–癌連続説)。
したがって、腫瘍性ポリープ(腺腫)の段階で大腸内視鏡により発見し切除しておけば、大腸癌を高い確率で予防できます。
一方で、遺伝性疾患や炎症性腸疾患を背景に正常粘膜から直接発生する大腸癌もあり、その多くは平坦型や炎症に紛れた病変で見つけにくいため、定期的な内視鏡検査と注意深い観察が重要です。
診断と病期評価
大腸癌と診断された場合には、病期(ステージ)を把握するために次の検査が行われます。
- 血液検査(貧血・腫瘍マーカーなど)
- 大腸内視鏡検査(病変の観察と生検)
- CT・MRIなどの画像検査(リンパ節や他臓器転移の評価)
進行度・年齢・全身状態などを総合的に判断し、治療方針が決定されます。
主な治療法
内視鏡治療
- 主に粘膜内〜ごく浅い粘膜下層までの早期大腸癌が対象
- EMR(内視鏡的粘膜切除術)
- ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
手術(外科的切除)
- 腸管切除+リンパ節郭清
- 開腹手術または腹腔鏡手術
化学療法(抗癌剤治療)
- 進行癌・再発癌、手術後の補助療法など
早期に発見された大腸癌では、内視鏡治療のみで根治が期待できる場合も多く、機能温存やQOLの面でもメリットがあります。
進行大腸癌の内視鏡像

右上:横行結腸の亜全周の病変
左下:上行結腸、ほぼ狭窄しかけている病変